花粉症


<そもそもアレルギーとは>


アレルギー疾患とは

体の外から体内に侵入してこようとするウイルスや細菌を防ぎ、体内にできたがん細胞を排除するに不可欠な自己防衛反応が、花粉、ほこり、ダニ、食物、などに対して過剰に起こる反応です

 

 

アレルギー症状の主訴の多くは痒みです

 

 

治療法としては主に

抗アレルギー薬やステロイド剤の薬物投与が行われます

 

 

この治療は

アレルギーによって引き起こされた、鼻水、痒み、不快感を抑える対処療法となります

 

 

薬が効いている時には症状は緩和しますが

一時的に症状を抑えているだけなので、薬が切れてしまうとまた症状がまた元通りになってしまう事が多いです

 

 

発症年代も様々です

 

 

アトピー性皮膚炎や気管支喘息は

比較的小さなお子さんが多かったのですが

最近は成人の方でも、アトピー性皮膚炎や気管支喘息と診断される方が増えています

 

 

花粉症は逆に成人の方が多かったのですが

最近では小さなお子さんでも

花粉症と診断をされるケースが増えています


西洋医学における花粉症の考え方


<なぜ日本でアレルギー疾患が増加傾向にあるのか?>

 

 

①生活様式の変化
ここ10~20年ぐらいで住環境が良くなりました

 

 

夏は長時間クーラーの効いた部屋で過ごし

冬は暖かすぎる部屋で過ごす、快適な環境下で生活をするようになっています

 

 

この状況ですと

夏に汗をかいてエネルギーを発散していたのが、汗もかかずに体を冷やし過ぎる

 

 

冬は逆にエネルギーを蓄えないといけない時期に暖かい環境下にいると、エネルギーを使い過ぎてしまう

 

 

夏・冬の変化により

エネルギーを徐々に発散させていかなければならない春には、すでにエネルギーが空になる

 

 

そのため、花粉症にかかるというケースが多くなっています

 

 

 

 ②食生活の変化

食事の西洋化

・偏食が進むことで

 動物性タンパク質や脂質、糖質の過剰摂取

 

 

四季に応じた野菜や果物、魚を摂取していない為に

四季に応じた体を形成していない

 

 


③スギの飛散量増加
第一次産業の衰退による植林の手入れ不足により

春に飛ぶスギやひのきの花粉の飛散量が増大している

 

 


④大気汚染
産業の成長

車社会においての排気ガス

 

 


⑤遺伝によるもの
両親や祖父母の中にアレルギー疾患を持った方がおられると

高い確率で遺伝してしまうという

研究結果も報告されています

 

 

 

⑥ストレスの増加

 

 

<アレルギー疾患の症状>


 ・鼻づまり
 ・流涙
 ・皮膚のかゆみ
 ・目や鼻、口腔、喉などの粘膜のかゆみ
 ・口呼吸
 ・口や気道の腫れ
 ・くしゃみ
 ・鼻水

 


 上記の症状が長期化してくると


 ・倦怠感
 ・頭痛
 ・不眠
 ・肩やくびのこり感
 ・生理不順
 ・更年期障害



など、自律神経失調症状の二次的な症状も起こり、症状を悪化させてしまう場合があります


東洋医学における花粉症の考え方


【東洋医学的にアレルギー起こす外感(アレルゲン)】

 

 ・風邪:患部が体中あちらこちら移動する

     症状の変化が早い


 ・熱邪:患部が熱を持って赤くなる

     熱があるので冷やすと楽になる


 ・寒邪:患部が冷えてしまい

     温めると楽になる


 ・湿邪:患部がジクジクしてしまう

     鼻水や涙がたくさん出る


 ・燥邪:皮膚や舌が乾燥してカサカサする

     空気が乾燥すると悪化してしまう

 

 

<アレルギーを引き起こしやすい体質>

 

肺気虚
体の外からやってくる外邪(アレルゲン)に対して、体の外を守っている「衛気」の働きによってバリアを張って体内に侵入させないようにしています

 

 

この衛気の働きが悪いと

外邪が体内に侵入してアレルギー疾患を発症させます

 


衛気は、肺の働きによってコントロールされていて

肺の働きが弱くなると

衛気の働きも悪くなりバリア形成が出来なくなります

 

 

これを東洋医学的には「肺気虚」といいます

 


肺気虚になると

 ・風邪をひきやすい

 ・声に力がない

 ・すぐに息切れする

などといった症状が現われます

 

 

治療としては

「衛気」を産生している脾の働きを良くしつつ、肺の働きも高めていきます

 

 


水の代謝障害
  ・甘い物や味の濃い物

 ・脂っこい物の過剰摂取

 ・過度の飲酒

は体内で余分な水分となってしまい

この余分な水分を東洋医学では「痰湿」といいます

 

 

この痰湿は脾に貯まってしまい

もちろん体にとって不必要なものであるために、体外に出そうと肺に吸い上げられ

肺が外界と通じている鼻からその痰湿を出そうとします

 

 

それが鼻水です

 

 

それ以外にも

痰や涙、目やに、ジクジクした皮膚炎

という形になって現われます

 

 

痰湿が熱化してしまうと

湿熱や痰火となり

痰や鼻水が黄色く熱を持った感じになります

 


この体質の方は

 ・四肢がむくみやすい

 ・便が軟らかい

 ・常に体が重く感じる

 ・食欲不振

 ・腹部膨満感

などの症状が現われます

 

 

治療としては

水分代謝を良くするために気の働きを良くしつつ、特に湿を嫌う「脾」の働きを高めていくことになります

 

 

 


気滞
 精神的なストレスから気の流れが滞り

皮膚に影響をあたえてしまします

 

 

特徴は

・過度な精神的なストレスを受ける

 と痒くなる

・小さな赤い発赤が見られ盛り上がっている

 

 

風邪や急な寒さにより

肌が強張った際に起こる寒冷湿疹や蕁麻疹なども、このケースに当てはまります

 

 

治療としては

滞った気の流れを良くします

 

 

日常生活内でのストレス対策をおこない

運動をするのも良いです

 

 

 


肝鬱熱
アレルギー症状の中には、熱がこもってしまうことで発症してしまうケースがあります

 

 

原因としては

 ・暴飲暴食

 ・脂濃い物、辛い物、甘い物の過剰摂取

 ・ストレスからくるイライラ

の症状があります

 

 

暴飲暴食をしたり精神的にイライラしてしまうと、気の流れを滞らせ、気が滞ることによって体の中にしつこい熱が生じます

 

 

この熱が体に籠ってしまうので

その熱を外部に排泄させようとすると湿疹になり、アレルギー症状を発症させるケースがあります

 

 

この体質の方は

イライラしたり怒ったりすると

症状が悪化してしまいます

 


東洋医学的に「肝」は、疏泄という気の流れを良くする働きがあります

ストレスには弱く、過度なストレスがかかると気の滞りを引き起こしやすくなります

 

 

この体質の方は

 ・赤ら顔

 ・胸や脇が張る感じがある

 ・怒りっぽくイライラしている

 ・目が疲れやすい

などの症状があります

 

 

症状としては

ジュクジュクとしたオデキ様の湿疹となったり、ブヨブヨとした腫れになったりする形状を呈します

 


 治療としては

気の滞っている原因を取り除き

「肝の気」を整えてあげます

 

 

このケースの場合は

便秘になっていることが多いので

便通を良くして

食生活を野菜中心にして暴飲暴食を改める

ことも必要となります

 

 

 


血熱
鬱熱によって気の停滞が長引き慢性化することで、体の中に籠っている熱が、気よりもさらに深い血の位置まで熱が波及してしまい生じます

 

 

多くの蕁麻疹の原因がこれに当たります

 

 

湿疹でも、あまり盛り上がっていないアザみたいな湿疹はこのケースがほとんどです

 


治療としては

血の中に入ってしまった余分な熱を冷まし

滞っている気の流れを良くします

 

 

 


血虚
東洋医学でいう「血」の役目の1つに

栄養や熱を運搬する役割があります

 

 

過度な疲労や慢性的な病気、大量出血

などによってこの役割を妨げてしまします

 


この体質の方は

 ・めまい

 ・動悸

 ・顔や皮膚の血色が悪い

 ・爪がガタガタ

 ・髪に艶がない

などの症状があります

 

 

治療としては

血を補う治療となります

 

 


腎虚
「腎」には体のエネルギーが貯められているのですが

・生まれつきこのエネルギーが不足している

・過労

・慢性の病気

・過度の性交

などによって腎虚を引き起こします

 


腎虚の方は

 ・老化が早い

 ・膝や腰に力が入らない

 ・腰痛

 ・難聴

 ・頻尿

などの症状も現れることがあります

 

 

治療としては

エネルギーを産生している「脾」を整えつつ

「腎」のエネルギーを補う治療をします

 

 

このように

外からの原因(外感)と体質によって

アレルギーを引き起こしてしまします

 

 

ほとんどの場合は

外感も体質も原因は1つだけではなく

複数の原因が絡み合って発症している場合がほとんどです