顔面神経麻痺


<顔面神経麻痺とは>
顔面神経麻痺とは

顔の表情を作っている表情筋が麻痺をしてしまう症状

 

 

顔面神経は

脳の中枢から顔の末梢の方へと流れている神経です

 

 

顔の表情筋以外に

音量を調節する耳の筋肉であるアブミ骨筋や

涙や唾液の分泌量の調節

舌の前2/3の味覚に関与しています

 

 

顔面神経麻痺により

・涙、唾液が分泌できない

・舌の前2/3の味覚を感じなくなる

事もあります

 

 


西洋医学における顔面神経麻痺の考え方


<顔面神経麻痺の分類>

 

①末梢性顔面神経麻痺
末梢性顔面神経麻痺は

・ベル麻痺

・ラムゼイ・ハント症候群

があります

 

 

脳から出ている末梢の神経が障害されておこります

 

 

脳から近い場所で障害が発生すると

・顔面の運動

・涙の分泌

・味覚、聴覚

にも異常が起きる事があります

 

 

 

②中枢性顔面神経麻痺
 脳の障害による麻痺

脳梗塞や脳出血などによりおこります

 

 

顔面部の下半分のみの麻痺

 

 

顔面部以外にも片麻痺や言語障害など

様々な症状を伴う事があります

 

 

 

<顔面神経麻痺の症状>
 ・額のしわよせができない

 (中枢性顔面神経麻痺では可能)
 ・麻痺側の目を閉じる事ができない
 ・口を閉じる事ができず

  麻痺側の口角からよだれ

  食べ物、飲み物などがこぼれる
 ・口笛がふけない
 ・麻痺側の耳が過敏になり

  音が異常に響いたりする
 ・涙と唾液の分泌異常が起こる
 ・舌前2/3部位に味覚を感じない

 

 


東洋医学における顔面神経麻痺の考え方


<東洋医学的な分類>
●中枢性顔面神経麻痺
中枢性顔面神経麻痺は

脳卒中、脳出血などにより

脳内で顔面神経を損傷した時におこります

 

 

東洋医学では「中風」と言います

 

 

風邪が関係していることが分かります

 

 

風邪の中でも

主に内風の影響でおこりやすくなります

 


内風とは

体質や疲労・循環不全・ストレスなどにより

体内から発生する病気の原因となるものです

 

 

体内の精・津液・血分の不足により

体内で内風が発生しやすくなります

 

 

脳に影響すると脳卒中になり

中枢性顔面神経麻痺を発症します

 

 

治療法としては

脳血流を改善することで自律神経を整え

内風の症状を治療しますが

専門医との併用治療が不可欠となります

 

 

●末梢性顔面神経麻痺
①気虚タイプ
気虚は気が不足している状態

 

 

顔面神経麻痺は

 ・呼吸器の弱さによる清気(肺気)の不足

 ・生まれながらにして気が不足している

  先天の気(腎気)不足

 ・胃腸の弱さによる後天の気(脾気)不足

が関与しています

 

 

慢性の痛み・ストレス・疲労等で

気が損傷する事により

顔面神経麻痺に罹患しやすくなります


 
【その他の症状】
 ・冷えやすい
 ・食欲がない
 ・声に力がない
 ・風邪をひきやすい
 ・疲れやすい
 ・食後すぐ眠くなる
 ・腰や膝がだるい

 

 


②気血両虚タイプ
気血両虚とは

気と血の両方が不足している状態です

 

 

気は血を生成する原動力であり

血は気力を充実させます

 

 

気と血どちらかが過度に不足すると

気と血はお互いに影響し合っているので

両方が不足となる場合があります

 

 

気血両虚となると

これら気血の作用が低下し

全身に気血が不足した症状が出現します

 

 

顔面部も同様に気血が不足します

 

 

防衛作用は気血が充実して正常に働くので

気血両虚は気虚よりさらに風寒邪の影響を受けやすくなり

顔面神経麻痺が発症しやすい状態になります


 
【その他の症状】
 ・気力がない
 ・食欲がない
 ・風邪をひきやすい
 ・顔色に艶がない
 ・爪の色が白く、脆くなる
 ・筋肉のひきつりやすい
 ・疲れ目

 

 


③湿熱タイプ
湿熱タイプは

過剰な湿(水・脂)と熱が身体に溜まった状態

 

 

原因は主に

・暴飲暴食

・アルコールの飲み過ぎ

・脂っこいもの・辛いものの食べ過ぎ

・臓腑の損傷による水分代謝異常

などがあります

 


 【その他の症状】
 ・暑がりで汗っかき
 ・吹き出物が多い
 ・赤ら顔
 ・食欲旺盛
 ・口の中が粘い
 ・痰がよく出る
 ・便が柔らかい
 ・肥満ぎみ

 

 


④気滞タイプ
気滞タイプは気が滞っている状態です

 

 

原因は

・過度の緊張

・ストレス

・抑うつ

・長時間の同姿勢

・気虚による気の推動作用の低下による

 気の停滞

などがあります

 

 

気が滞ると気血の流れが停滞します

 

 

その為

防衛作用(身体を外邪から守る)が低下し

風寒邪の影響を受けて

顔面神経麻痺を発症しやすくなります

 


 【その他の症状】
 ・気分が落ち込む
 ・お腹が張って苦しい
 ・手足の先端が冷える
 ・げっぷ、おならが出やすい
 ・便秘になりやすい
 ・胸部の詰まり感がある
 ・生理前の胸や腹部が張る
 ・ストレスを受けやすい